障害者雇用Q&A

Q
下肢障害(歩行障害)の方の面接に際した確認事項は?

片麻痺により歩行に障害がある方より応募がありました。ご本人は片手杖の使用があるようです。

求人している業務は、主にPCを使った資料作成や電話の一次受け、郵便物配布などの軽作業を想定しているのですが、面接の際にはどのようなことを確認すればよいですか?

A

【歩行障害のある身体障害者】長期的に就業する観点より「移動可能な距離」「通勤面」「業務面」「業務支援機器等、補助の有無」などを確認しましょう。 

片麻痺の場合、その原因の多くが脳あるいは脊髄疾患にあります。つまり、歩行障害が唯一の症状として出現することが珍しいので、脳疾患が原因であれば同側の上肢・下肢への麻痺の影響や言語障害などの症状、脊髄疾患が原因ならば腰痛や下肢痛を伴っていることが多くみられます。
もし上肢障害があるかもしれないという場合は、こちらの質問も併せてご確認ください。 

下肢障害(歩行障害)の方の場合、特に「移動可能な距離」「通勤面」「業務面」「業務支援機器等、補助の有無」の視点から、どういった配慮ができるのか面接時に次のような点を具体的に確認すると良いでしょう。 

・移動可能な距離
 片手杖を使用されているとのことですので、長距離歩行や両手をふさいでいる状態で歩行することは難しいことが考えられます。「重いものが持てない」「杖を使わずに歩くことは難しい」など、どういった場合が障害により難しいのか確認しましょう。また具体的な数値や単位などを使って質問にすると、どれぐらい移動が可能なのか把握できます。具体的な質問として、杖を使用時・不使用時での歩行距離や時間、何㎏程度(ペットボトル、コピー1束など)の持ち運び、乃至上げ下げが可能かと質問すると、より判断がつきやすいかと思います。 

・通勤面
 毎日通う経路になるのですから、身体への負担が大きくないか確認が必要です。毎日の移動が本人にとって可能な範囲なのか、本人が的確に把握できているのかも確認できます。
自宅から勤務地までの通勤距離や移動手段、通勤途中の込み具合や経路も確認した方がよろしいかと思います。また勤務地までの途中の道のりで本人にとって難しい坂道や階段(段差)がないか必ず確認しましょう。場合によっては出退勤のラッシュ時間を避けるため出退勤時間の調整をする可能性も考慮しておきましょう。 

・業務面
 ご本人の業務遂行能力やこれまでの経験内容のすり合わせとともに、想定している業務内容が身体に負担がかかりすぎていないか、という視点をもつことをお勧めいたします。
デスクワークでも座りっぱなしだけではなく、会議だったりプリントアウトを取りに行ったりする等、立ったり座ったりする動作は必ずあります。考えられる配慮として、プリンターに比較的近い場所やフロアの入り口に近い場所に座席の設置、もしくは人の出入りが激しい場所には席を設置しないといったことがあげられます。郵便物配布に関しても、歩くスピードにより本人に余裕の持てる時間配分を考えることが大切です。 

・業務支援機器等、補助の有無
 物理的にできる・できないことが明確になってくると、それに合わせた業務支援機器や補助の有無がわかってきます。施設補助の改修は容易ではないので、社内移動方法でもエレベーター移動を推奨したり、会議でも移動時間の余裕を持って設定する等の配慮ができます。郵便物・宅配物の配布時に重量物がある場合には台車を使えるようにしておく等を確認しておくとよいでしょう。


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