障害者雇用Q&A

Q
連絡帳で仕事の様子を知らせてほしいという知的障害者社員の保護者の依頼を断りたい。

今回採用した知的障害者社員の母親から、日中の様子を連絡帳で知らせてほしいと言われ戸惑っています。業務日誌は本人が記入しており、それを上司が確認する形をとっていますが、家庭向けのものではありません。その社員は比較的軽度の知的障害であり、仕事でやったこと、会社であったことについては十分自分から保護者に伝えることができます。
他社の担当者にきくと、保護者との関係は大事だし、連絡帳は貴重な情報源なのでやった方がいいと言われました。会社は学校とは違います。担当者の負担も少なくありません。できれば連絡帳は断りたいのですが問題ありますでしょうか。

A

【ご家族・保護者との関係】連絡帳での家庭とのやりとりには対応しないと伝えてOK。

知的障害者の保護者は、長年にわたって特別支援学校の教員や障害者支援施設の職員などと連絡帳をやりとりしていることが多いため、就職して社会人になっても、同じように子どもの様子が知りたい、家庭での様子を伝えたいという気持ちが強いのだと思われます。
もちろん企業においても、その知的障害の程度が重度であったり、言葉によるコミュニケーションが困難である場合などは、担当者が家での様子を知る手段として、職場からの連絡事項を家庭に伝える手段として活用し、役立っているという話を聞くことは少なくありません。

今回のご相談の知的障害者社員の場合は、ご本人自身でコミュニケーションができるということですので、連絡帳という手段を用いなければまったく家庭での様子が把握できないということでもなさそうです。
職場での出来事についてもご本人から親御さんに伝えることができると思われます。会社として断りたいというご意向でしたら、もちろん断っていただいて何の問題もありません。
ただ、一方的に「お断りします」と伝えてしまうと、親御さんも戸惑われるかもしれません。以下のような形でご提案されてはいかがでしょうか。

「これまでは先生やお母さんが助けてくれていたと思いますが、入社後は、自分でできることを増やしていってもらいたいと思っています。会社からの連絡事項は、基本的に本人に伝えていきます。会社に対しても本人から伝えてもらいたいと思います。ご本人が話さない場合は、お母さんから聞いてみていただいてはいかがでしょう。
〇〇さんがより成長できるよう会社も応援したいので、お母さんもご理解、ご協力をいただけないでしょうか」

たぶん親御さんは、納得していただけると思います。

親御さんが心配しすぎる、親御さんのオーダーが多いなどといったことがある場合、就労支援機関の協力を仰ぐとよいと思います。生活面における支援、家庭との連携については、支援機関が間に入ることで企業と保護者との間の程よい関係が構築できるのではないかと考えます。


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