障害者雇用Q&A

Q
精神・発達障害者の定着率向上や合理的配慮事項として臨床心理士などの専門職を配置するべきか
従業員数1000人規模の企業です。雇用率達成を目指し、採用を進めた結果、精神・発達障害の社員が急増しました。総務・人事部門にやや多く配置していますが、その他は工場や本社内の各部署で働いてもらっています。本社では、人事部と各部署の担当社員が面談を行っていますが、コミュニケーションのトラブルや、勤怠が不安定で離職につながるケースが出ています。社内では、臨床心理士や精神保健福祉士の資格を持った人を雇用して、フォロー担当をつけたほうが良いのではないかという意見が出ています。精神・発達障害の採用に、こうした専門職配置は必須と考えるべきなのでしょうか。

A
専門職の配置は1つの方法だが、頼りすぎることでリスクもある。自社にあった環境づくりを考える

障害のある方の働きやすい環境づくりの一環で、障害者やその就労支援の知見を持つ専門職(臨床心理士、公認心理師、精神保健福祉士等)を雇用管理担当として採用する企業があります。それによって、適切な声掛けや面談が行われる体制が作れることは、障害のある方や同僚の社員の皆さんにとって安心できる要素の1つです。ただし、あくまで1つの方法であって、専門職がいればすべてうまくいくというわけではありませんし専門職を配置した結果、障害者社員の相談、対応がその人に集中し、他の社員に情報が共有されなかったり、組織としてマネジメントのノウハウが蓄積できずに、問題が生じることがあります。専門職と障害者社員の間でトラブルが起こった場合や、専門職が退職した場合など、「こんなはずでは・・」と慌ててしまったという事例は実際に起きています。
 すべての専門職がそうであるということではありませんが、ケアが自身の役割と考えている人は、過度な心配や先回りした対応など保護的な関わりをとってしまうケースもあります。障害者社員の成長の機会が失われるようなことがあっては本末転倒です。
 支援機関との連携、産業医の活用など一定の配慮ある体制を確保しながら、自社にあった雇用環境づくりを考えましょう。

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